皮膚の発疹、赤み。
それが痒くて掻きむしって、いつもどこかに掻き傷があり、気が付くと血が出ている。
子供の食物アレルギーは、ママも大変です。
食事制限に沿った食事の準備、肌のケア、衣類や寝具のケア。
何でもない子もたくさんいるのに、どうしてうちの子は?なんて思うこともあります。
そんな中で母乳育児を続けて来れたのは、小児科の先生のある一言でした。
生まれた時からアレルギーだな・・・と思った肌
食物アレルギーが重かったのは、次女。複数の食品にアレルギーを抱えていました。
長女は1ヶ月検診で発疹があったので乳児によくある脂漏性湿疹と言われて軟膏を処方されましたが、離乳食が始まる6ヶ月頃から頬や体の柔らかい場所の赤みと痒みがあり、血液検査の結果、卵にアレルギーがあることがわかりました。
産後、次女を見た途端にわかってしまった
私は二人とも帝王切開で出産しているのですが、長女は緊急手術で全身麻酔だったため、次女のときは局部麻酔にしてもらって産後少しでも早く赤ちゃんに対面したいと思いました。
そして。
お腹から取り出され、きれいにしてもらい、ご対面!の場面で。
あ~、これはアレルギー持ってるな・・・
しかも、長女より重そうだ・・・。
体の至るところに赤みがあって、頬・肘や膝の裏、背中やかかとなど皮膚反応が出やすい箇所は見事に赤いのです。
友人から、アレルギーは二人目の方が強く出やすいと聞いていたので、妊娠中はアレルゲンとなりそうな食品の卵・牛乳・大豆は避けていました。
それでも。
あ~、やってしまった・・・
食べ物に気をつけてはいたけれど全然ダメだった、私から生まれるとアレルギーになるの?という自分を責める気持ちでいっぱいになりました。
生後1ヶ月を待って血液検査をした結果
当時、もう17年も前。
今はどうなのでしょうか、当時は、血液型が安定するのは生後1ヶ月頃と言われていて、それに合わせてアレルギーの検査もしてもらいました。
結果は、卵・牛乳・大豆が「重度」のアレルギー。
娘がかかっていた医師からの指導では、タンパク質の加熱具合の変性によりいくつかのボーダーラインがあり、それに応じて調理法によって食べられるものがあったり、何なら食べられるかが違ってくるとのこと。
卵を例にとると
重度:全く体内に入れられない。鶏肉も不可
高度:高温で加熱したものは可。
オーブン調理、揚げ物など:パン、クッキー、フライなどは可
中度:通常の加熱処理は可
フライパン調理、茹でるなどが可
低度:半生および生は不可
蒸し料理、生が不可、プリン・茶碗蒸しなども不可
長女(当時1歳8ヶ月)は卵の高度だったのですが、次女の場合、卵・牛乳・大豆どれもが重度でした。
食物アレルギーの子供の母乳育児
ママもアレルゲンを抜かなくてはならない
子供に食物アレルギーがある場合、母乳育児をするにはママもアレルゲンを抜かなくてはなりません。
生後1ヶ月の時点で、私が食べられるものはとても限られていました。
肉:豚肉
魚、野菜、果物、米
調味料:海鮮類でできた醤油、米か麦の味噌、塩コショウ
大豆や乳が入っていない油脂類、酢や柑橘類、砂糖
菓子類:果物のゼリー、醤油を使っていないせんべい
調理方法:焼く、茹でる (揚げ物は不可)
魚・野菜・果物は生でも可
上記のように食べるものを制限していても、私自身がそれ以前に体内に取り込んでいるものも母乳に出てくるのでしょうから、市販品や加工食品を取らずにいても全てのものを排除するのは厳密には難しいのかも知れません。
粉ミルクを飲んでくれない
かかりつけの先生からは、「牛乳がダメな子も飲める粉ミルクもあるから」とお話されていたのですが、できるところまで頑張ってみようと思っていました。
でも、夫の食事、長女の乳幼児食、自分の食事。
生後4ヶ月目にして、ワンオペ育児状態でいっぱいいっぱいになりました。
妊娠中は18kg!も太ったのですが、あっという間に戻って更にマイナス7kg。
母乳のためのこの食生活で、いいのか悪いのか激やせしました。
また、いくら私の食事に気をつけても状態は良くならず、粉ミルクにすれば完全にダメなものを排除できて娘も楽になるのではないかとも思いました。
とうとう諦めて、粉ミルク購入。
ところがね、飲まないのです。
哺乳瓶を吸って、口に含んで、飲まずに吐き出す。
お腹が空けば仕方なく飲むかと思って、母乳をあげずにいてもやっぱり吐き出す。
これを2~3日続けてみましたが、さすがに栄養状態も気になってきます。
しかも、一旦口に含んで、私の目を見てニヤッと笑ってから、べぇ~っと吐き出すのです。
「こんなもの、飲まないよ~」と言っているみたいに。
粉ミルクと母乳を実際に自分で舐めてみるとよくわかります。
確かに母乳の味を知ってしまったら、この粉ミルクは美味しくない。
粉ミルクは無理。
じゃぁ、母乳で行くしかない。
食べない、という選択
先生が言った、一言とは
母乳で育てるには自分が大変なこと、でも粉ミルクも飲んでくれないことを先生にお話して、どうしたらいいのか聞いてみました。
聞いてみると言っても、答えは出ています。
私もアレルゲンを抜いて母乳で頑張るしかないってこと。
先生は意外にもこんなことを言いました。
「あのね、食物アレルギーなんて、大したことないんだよ。
だって、食べなければいいんだから~」
そう言って、わっはっは~と笑いました。
私がこんなに辛くて困ってるのに「食べなければいい」なんて言うし、しかも笑ってるし・・・。
もう、病院、変えようかな・・・。
ちょっと泣きたくなって、何も言えずに居ると先生は真顔になって続けました。
「だってね、アレルギーでも何でもないのに、味が嫌だとか臭いが嫌いとか言って、好き嫌いで食べない人もいるでしょ? 美味しくないからって言って牛乳飲まない人もいる。でも、その人たちだって他から栄養が取れててちゃんと生きてるよね。だからアレルギーがあっても、それで体の調子がいいんだったら、食べなければいいだけのことなんですよ。」
普段は、特に愛想も良くないし、余計なことをペラペラと喋る先生ではありませんでした。
たぶん、私のために笑い飛ばしてくれたのだと思います。
「食べられない」のではなく、「食べない」
「食べられない」というのは受身の表現に感じます。
何か事情(アレルギー)があって、そのせいだという押し付けられ感があります。
私は、病気だからという被害者意識や悲壮感を感じていました。
病気だ、かわいそう、と思っていました。
でも、そうではなく「食べない」という意識を持つと、それは自分自身の意思を持った選択になります。
自分の体に良くないから「食べない」。
逆を返すと、自分の体にいいものや合っているものを選んで「食べる」。
この時から、「食べられない」ものを排除するのではなく、「食べるもの」を選ぶという意識に変わりました。
このあとも、アレルゲンが変わったり、増えたり減ったりを繰り返しましたが、私自身「あら~、増えちゃったね~」なんて笑う余裕が出来て、「さて、それがダメなら、今度は何食べる?」という調子でアレルギーと付き合えるようになって行きました。
母乳も、1歳8ヶ月の断乳まで続けることが出来ました。
最後に
本当に偶然なのか必然なのか。
この記事は途中まで書いて、一旦出掛けてまた後から続きを書きました。
その間、Twitterでこの先生のことに関するツイートをみつけました。
しかもフォロワーさんではありません。
今、柔軟剤などの「香害」で苦しんでいる方が多くいらっしゃいますが、そのことに関するツイートで、かかりつけ医として先生の名前がハッシュタグでつけられていました。
アレルギーや喘息を専門にされている小児科医ですが、香害や化学物質過敏症にも理解を示し、患者さんに寄り添って治療に当たられているようです。
その先生はいい先生ですよ。
私もとってもお世話になりましたよ。
と、心の中で。
その後、私は2度ほど転居し数名の先生にお世話になっています。
転居後も幸いにもいい先生に出会い、娘たちも無事に大きくなりましたが、心の根底にあるのは「食べなければいい」。
辛くなく、前向きにアレルギーと向き合って来られたと、感謝しています。
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